梅雨どきを心地よく過ごすアーユルヴェーダの知恵
前回ご紹介した梅雨の過ごし方は、中医学の薬膳から食養生を中心にお伝えしました。
今日は、インドの生命科学「アーユルヴェーダ」の知恵から、梅雨時を心地よく健やかに過ごすアイディアを一つご紹介します。
「アーユルヴェーダ」という言葉を耳にされたことはありますか?

古くから伝えられるインドのサンスクリット語で、「アーユス」=生命「ヴェーダ」=知恵を語源としたアーユルヴェーダは、ヨーガと共に生活に取り入れることで、日々を豊かに、心身を健やかにしてくれる知恵をたくさん伝えています。
インドと日本では地域による環境や気候、体質の違い、時代の変化もあるため、全てをその通りにする必要はないけれど、日本の「おばあちゃんの知恵袋」のように、インドの家庭医学を取り入れるのも楽しいですよ。
さて、このアーユルヴェーダは、人のカラダの性質を3つに大別して説明します。
つまり、世界はなべて空間・風・火・水・土の5つの元素で構成されているとし、人のカラダの性質(ドーシャと言います)をヴァータ(空間+風)ピッタ(火+水)カファ(水+土)の3つをベースに、その多様な組み合わせで捉えていきます。
そして、わたしたちを取り巻く自然界の変化が、同時にこの3つの性質を変化させ、自然の一つである私たちのカラダやこころにも変化をもたらすと考えます。
ドーシャについてや、アーユルヴェーダについては、別の機会にまた詳しくお伝えしましょうね。
そして、日本の梅雨。
雨が多いため、湿度が高く、陽が差さなくてひんやりじっとりした日。
意外と風が強く吹いて、肌寒い日。
雨上がりで湿度は高いまま、急に太陽が元気に照りつけて、むわっと蒸し暑い日。
晴れの日が続いて、真夏のようにジリジリ暑い日。
天候の変化に合わせて、気温や湿度も変化が著しく、私たちのカラダのドーシャバランスが乱れて、心身の健やかさを保つことが難しい時季です。
アーユルヴェーダの知恵から見ると、この時期は主に土と水の要素からなるカファと、空間と風の要素からなるヴァータがバランスを崩しやすい時季になります。
外気の水分を溜めこみやすく、雨が続くと外出も減り、カラダを動かすことが少なくなったり、億劫になったりするでしょう。
そんなカファの質が増えすぎたときには、ゆったりと穏やかにカラダを整えるヨーガや、雨の合間をぬっての散歩などをしてみてくださいね。
そして、梅雨時にお勧めしたいことはいろいろありますが、今日はオイルマッサージをご紹介します。

アーユルヴェーダと聞くと、マッサージを思い出される方も多いと思います。
様々な症状や要望に沿って調合したオイルを、贅沢に使用されるセラピストによるオイルマッサージも、いつか体験していただきたいのですが、日々のセルフケアとして、おうちでのセルフオイルマッサージもとても効果が高く、アーユルヴェーダでは大切なケアの一つです。
人それぞれカラダの性質にも個性があり、セルフマッサージとはいえ、ドーシャによっておすすめのオイルは異なります。
この時季は水の要素を多く含むカファの質が増えることで、カラダが冷やされてヴァータのバランスが崩れがち。
そこで、カラダを温めて、クーラーや梅雨時の冷えうあ乾燥を和らげてくれる太白ごま油でのマッサージをお勧めします。
料理によく使われる茶色いごま油ではなく、最近よく目にするようになった白いごま油。
日本のごま油の場合は、キュアリングと呼ばれる工程を省いて使用しても大丈夫。
ごま油を適量手に取って、手のひらで温めてからどうぞ。
もし、雨が続いてカラダが水分を多く含んでいるなと感じたら、オイルマッサージの前にボディーブラシでブラッシングしたり、アーユルヴェーダではガルシャナと言われる絹手袋での寒風摩擦を行なってから、オイルマッサージを行なってみてください。
全身のマッサージが一番ですが、時間が取りづらい時は、足裏や脚だけでもマッサージをしてみてください。
もし可能ならば、腰の辺りやお腹もぜひ。
オイルマッサージ後は、10~15分時間をおいてから、オイルを拭き取ったり、シャワーなどで軽く流してあげましょう。
或いは、半身浴をしながら、オイルをカラダに浸透させるのもいいですよ。
オイルがカラダの中の老廃物や不要なものを吸着して、デトックスをしてくれると同時に、関節や骨に沁み込んで、滑らかにしたり強くしたりしてくれます。
そして、なにより肌が潤って、ふわふわもちもち柔らかくなります。
おすすめの時間帯は、朝の起床後、又はヴァータの質が乱れやすい夕方です。
尚、オイルマッサージは、デトックス効果が高いため、月経中やお腹がいっぱいの時、妊娠中は避けてくださいね。
又、湿度と気温で、カラダに熱が篭っていると感じる時は、ココナッツオイルでのマッサージにしてみてください。
カラダの熱を冷まし整えてくれます。
私は、手足や顔などはココナッツオイル、お腹や腰はごま油と使い分けたりしています。
ご自分で試して、ご自分に合ったオイルを見つけてくださいね。
詳しいマッサージの方法は、私は上馬場和夫氏・西川眞知子氏著「新盤インドの生命科学 アーユルヴェーダ」農文協刊を参考にしています。
日本でアーユルヴェーダを長年伝えていらっしゃる方々なので、様々な著書があります。
興味がある方はお二人の著書を、ぜひ一度手に取ってみてくださいね。
ご自分の手で、大切なカラダを労わるようにマッサージすることは、幸せホルモンとも呼ばれている神経伝達物質セロトニンの脳内分泌も促してくれます。

どんより気持ちも沈みがちな梅雨時。
キャンドルを灯したり、お気に入りの音楽を聴きながら、ご自分のために、ゆっくりセルフマッサージの時間を過ごしてみてください。
オイルがカラダだけでなく、こころのどんよりも吸い取って、デトックスしてくれますよ。
今日はアーユルヴェーダの知恵から、梅雨時におすすめのオイルマッサージをご紹介しました。
次回は、消化力が落ちやすいこの時期に、お腹にやさしいインドのお粥をご紹介します。
それでは、健やかに、穏やかな時間をお過ごしくださいね。
当spaceでは、初めてセッションを受けられる際に、アーユルヴェーダの体質チェックを受けていただけます。
そして、プライベートやセミプライベートセッションでは、この体質チェックを参考に、お一人お一人のカラダやこころの状態を、健やかにバランスよく調整していきます。
又、おうちに帰ってもご自分で整えられるように、必要な方にポーズや呼吸法、食べ物などもご案内しています。
「わたし」のための処方箋のように、当spaceのセッションを楽しんでいただけたら幸いです。